蒸し暑い夏の夜にエアコンを稼働させていると、ふとした瞬間に内部からカタカタという乾いた不自然な音が聞こえてくることがあります。この音の正体は、実は内部に侵入したゴキブリである可能性が非常に高いと言わざるを得ません。エアコンの内部は暗くて狭く、さらに冷房運転によって発生する結露水が適度な湿気をもたらすため、害虫にとってはこれ以上ないほど快適な潜伏場所となってしまうのです。特にファンが回転している最中に、その高速で動く羽根に虫の体が接触したり、あるいは逃げ惑う虫が内部のプラスチック部品に衝突したりすることで、カタカタやガサガサといった不快な異音が発生します。主な侵入経路として知られているのは、屋外に設置されたドレンホースです。室内機で発生した結露水を外に排出するためのこのホースは、常に外気と直結しており、地面に近い場所に開放されていることが多いため、水を求める害虫が逆流するようにして簡単に室内へと辿り着いてしまいます。また、エアコンの配管を壁の外へと通すための貫通穴に隙間がある場合も、そこが絶好の入り口となります。もし深夜に異音に気づいたら、まずは慌てずに運転を止めて、懐中電灯などで吹き出し口の奥を確認してみてください。ただし、ここで注意が必要なのは、パニックになって市販の殺虫スプレーを吹き出し口の中に大量に噴射してしまうことです。エアコンの内部には複雑な基板やセンサーなどの精密な電装部品が含まれており、液体の成分が付着することでショートや故障を引き起こしたり、プラスチック素材を劣化させて発火の原因になったりする恐れがあります。また、殺虫剤の成分が次にエアコンをつけた際に部屋中に拡散され、居住者の健康を害するリスクも否定できません。異音の原因が害虫であると確信した場合は、まずは部屋を明るくして静かに様子を見守り、出てきたところを捕獲するか、あるいは専門のエアコンクリーニング業者に徹底的な洗浄を依頼するのが最も安全で確実な解決策となります。業者による高圧洗浄を行えば、内部に潜む成虫だけでなく、自分では決して除去できない卵や糞、さらには餌となるカビやホコリまで根こそぎ取り除くことが可能です。害虫は一度住み着くとそこで繁殖し、エアコンの風に乗ってアレルゲンを撒き散らすため、単なる音の問題として放置せず、早急な対応が求められます。