スズメバチの識別において、最も直感的かつ確実なのは、その「色彩」と「体格」の組み合わせに注目することです。一見どれも同じように見えるスズメバチですが、細部を観察すると、それぞれの種が独自のカラーパレットを持っていることに気づきます。まずは、絶対的な存在感を放つオオスズメバチから見ていきましょう。彼らを見分ける最大の鍵は、その「頭部の大きさ」と「鮮やかなオレンジ色」です。他の種が体に対して頭が適度な大きさであるのに対し、オオスズメバチは異常なほど頭が大きく発達しており、顔全体が非常に明るいオレンジ色をしています。この「オレンジ色の巨大な顔」が見えたら、即座にその場を離れるべき最危険種です。次に、全体的に「くすんだ黄色」あるいは「淡い黄色」に見えるのが、都市部でもお馴染みのキイロスズメバチです。彼らの特徴は、腹部の縞模様が他の種よりも細かく、地色の黄色が非常に優勢であることです。そのため、飛んでいる姿は黒いハチというよりは、黄色い光の塊が移動しているような印象を与えます。また、体全体に細かい毛が生えており、どこか粉を吹いたような質感に見えるのも見分けのポイントです。対照的に、黒と黄色のコントラストが非常に強く、キリッとした印象を与えるのがコガタスズメバチです。彼らはオオスズメバチに非常に似た配色パターンを持っていますが、サイズが明らかに小さく(二センチから三センチ程度)、頭部も体に対してバランスの取れた大きさです。さらに、特定の部位で見分けるのが得意なのがヒメスズメバチとモンスズメバチです。ヒメスズメバチは、なんといっても腹部の末端が真っ黒であることが最大の特徴です。他のスズメバチが末端まで黄色やオレンジであるのに対し、この「黒いお尻」は非常に目立ちます。一方のモンスズメバチは、腹部の黄色い縞模様が波打つように波打っており、まるで波紋のような複雑なパターンをしています。また、彼らはスズメバチには珍しく、翅の基部が少し赤みを帯びていることがあります。このように、ハチの種類を特定するためには、まず「サイズ感」で候補を絞り、次に「顔と腹部の色味」をチェックし、最後に「お尻や模様の細部」を確認するという三段構えのステップが有効です。遠くからでも、この色の配置を意識するだけで、そのハチの正体が驚くほど鮮明に見えてくるはずです。
体の色と大きさで決まるスズメバチの種類と見分け方