ハッカ油を蜂よけとして使用する際に最も誤解されているのがその効果の持続時間です。一度スプレーすれば一日中効果が続くと考えている人が多いですがハッカ油の主成分であるメントールは非常に揮発性が高い物質です。気温や湿度風の強さにもよりますが実際に強い香りが持続し忌避効果が期待できるのは噴霧してからわずか15分から長くても1時間程度です。特に夏の暑い屋外ではあっという間に蒸発してしまい香りが消えてしまいます。香りが消えれば当然忌避効果も消失します。つまり「朝スプレーしたから大丈夫」と思って夕方まで放置していると昼過ぎには既に無防備な状態になっておりその隙に蜂が侵入してくるということが起こり得ます。これがハッカ油が「効かない」と言われる理由の一つです。効果を持続させるためには頻繁な塗り直しが必要になりますが現実的に考えて15分おきにスプレーし続けるのは手間がかかりますしコストパフォーマンスも良くありません。また屋内であればアロマストーンや重曹に混ぜて置くことで多少長持ちさせることはできますがそれでも拡散力は限定的です。網戸にスプレーする場合はハッカ油だけでなく効果を持続させるための展着剤のような成分が入っていないためすぐに流れ落ちてしまいます。このような揮発性の高さゆえにハッカ油は「今ここを通り抜ける間だけ虫を寄せ付けない」といったスポット的な使用には向いていますが「一日中家を守る」といった据え置き型の防虫対策としては力不足感が否めません。長時間の防御が必要な場合は専用の忌避剤や蚊取り線香など持続性の高い製品とハッカ油を上手に組み合わせて使うハイブリッドな対策が現実的です。