「あぶ」と一括りに言っても、日本には多くの種類が生息しており、その生態や危険度は様々です。野外で遭遇する可能性の高い、代表的なあぶの種類と特徴を知っておくことは、適切な対策と心構えに繋がります。まず、夏のキャンプ場や渓流などで最もよく遭遇するのが「イヨシロオビアブ」です。体長は一センチ強で、黒い体に白い帯状の模様があるのが特徴です。比較的小型ですが、非常にしつこく、人の周りを飛び回り、服の上からでも平気で咬んできます。その痛みは鋭く、多くの人があぶの被害として経験するのは、このイヨシロオビアブによるものです。次に、日本最大級のあぶとして知られるのが「ウシアブ」です。体長は二センチから三センチにもなり、全体的に黄褐色で、複眼が緑色に輝いて見えるのが特徴です。その名の通り、主に牛や馬などの家畜を襲いますが、人間もターゲットになります。大型であるため羽音も大きく、その存在感は圧倒的です。咬まれた際の痛みも強烈で、出血量も多くなりがちなため、特に注意が必要な種類です。牧場や高原などで見かけることが多いです。また、都市部でも見られることがあるのが「アカウシアブ」です。ウシアブよりは少し小さいですが、体長二センチ前後と大型で、赤みがかった茶色をしています。こちらも吸血性で、咬まれると強い痛みを伴います。その他にも、小型で金色の体毛を持つ「キンイロアブ」や、黒褐色の「ヤマトアブ」など、様々な種類が存在します。しかし、どの種類であっても、メスが産卵のために吸血するという点は共通しています。そして、人を刺すあぶのほとんどは、人間に対して強い警戒心を持たず、一度ターゲットを決めると執拗に追いかけてくる傾向があります。種類による多少の差はあれど、「あぶはしつこくて痛い」という基本認識を持ち、油断せずに対策を講じることが重要です。
種類によって危険度が違う!日本で見かける主なあぶとその特徴