多くの足を持ち、素早い動きで壁を駆け抜けるゲジゲジ(オオゲジやゲジ)は、その見た目の不気味さから不快害虫の代表格のように扱われています。しかし、生態学的な観点から見れば、彼らは家の中の衛生環境を改善してくれる極めて有益な天敵、すなわち「益虫」としての側面を持っています。ゲジゲジは肉食性で、その主食の一つがゴキブリやその卵です。彼らの脚は非常に長く、ゴキブリ以上のスピードで走り回ることが可能です。さらに驚くべきは、その脚を使って獲物を絡め取るだけでなく、一度に複数の獲物を捕獲して保持できるという高い狩猟技術です。ゲジゲジは非常に臆病な性格で、人間を襲うことはまずありません。むしろ人間の気配を感じると、驚くほどの速さで物陰に隠れてしまいます。彼らが家の中に現れる理由は、そこに餌となるゴキブリやダニ、シロアリなどが豊富に存在しているからに他なりません。つまり、ゲジゲジは「この家には他にもっと厄介な害虫が潜んでいますよ」ということを身を以て教えてくれているメッセンジャーなのです。また、ゲジゲジは非常に綺麗好きであることでも知られています。自分の長い脚を一本ずつ丁寧に口で掃除する姿は、不気味な外見からは想像もつかないほど繊細です。彼らが家の中に居着くことで、他の害虫の繁殖を抑える効果は絶大です。もし、見た目の恐怖を克服できるのであれば、彼らをそのままにしておくことが最も自然で強力なゴキブリ対策となります。駆除剤を大量に撒いて環境を汚染するよりも、ゲジゲジという天然のハンターに任せる方が、長期的な視点では合理的と言えるかもしれません。もちろん、心理的なハードルが高いのは理解できますが、彼らが一生懸命に家の中の悪しきものを排除してくれているという事実を知れば、少しは見る目が変わるのではないでしょうか。不快な姿は、外敵を寄せ付けず、効率よく獲物を狩るために進化の過程で手に入れた究極の機能美なのです。彼らを忌み嫌うのではなく、家の中の生態系を維持する重要な一員として認識することが、正しい自然との向き合い方と言えるでしょう。