バルサンを使用する際、ペットや植物、食品への配慮はよく知られていますが、意外と見落とされがちなのがパソコンやテレビ、オーディオ機器といった精密な家電製品への影響です。バルサンの煙や霧には、殺虫成分だけでなく、微細な粒子が含まれています。これらの粒子が精密機器の内部に入り込むと、基盤に付着してショートを引き起こしたり、冷却ファンの動作を妨げてオーバーヒートの原因になったりと、故障につながるリスクがゼロではありません。高価な家電を害虫から守るつもりが、自らの手で壊してしまっては元も子もありません。では、どうすればこれらの機器を安全に守ることができるのでしょうか。最も確実で簡単な方法は、大きなビニール袋や専用の養生シートですっぽりと覆ってしまうことです。デスクトップパソコンであれば、モニター、本体、キーボードなどをまとめて大きなビニール袋に入れ、口をテープでしっかりと閉じて隙間をなくします。テレビやオーディオ機器も同様に、全体が隠れるように上からビニールをかけ、裾をテープで床に固定するなどして、煙が下から入り込まないように工夫しましょう。この時、ただ布をかけるだけでは不十分です。布の織り目から煙の粒子は容易に侵入してしまうため、必ずビニール素材のものを使用してください。さらに念を入れるなら、カバーをかける前に、電源プラグをコンセントから抜いておくことをお勧めします。これは、万が一薬剤が内部に侵入した場合に、通電によるショートを防ぐための予防策です。また、バルサン使用後は、部屋の換気を十分に行った後、家電製品の表面を乾いた柔らかい布で優しく拭き、付着した可能性のある薬剤の粒子を取り除いてからカバーを外すとより安心です。ブルーレイレコーダーなどのディスクドライブがある機器は、使用前に内部のディスクを抜いておくことも忘れないようにしましょう。大切なデータを守り、愛用の機器を長く使い続けるためにも、バルサン使用時のこの一手間を惜しまないでください。