湿気虫対策の二本柱は「除湿」と「清掃」です。たとえ湿度を下げたとしても、彼らの餌となるものが豊富にあれば、しぶとく生き残ってしまう可能性があります。湿気虫の餌とは、具体的に何なのでしょうか。それは、カビ、ホコリ、人間のフケや髪の毛、食べこぼしのカス、そして乾麺や小麦粉といった食品など、実に多岐にわたります。これらの餌を家の中から一掃することが、彼らを飢えさせて根絶に導くための重要な戦略となります。まず、彼らの大好物であるカビの対策です。浴室のパッキンや壁はもちろんのこと、見落としがちなのが窓のサッシや、結露しやすい壁紙の隅、エアコンの内部などです。これらの場所を定期的にチェックし、カビを発見したらカビ取り剤や消毒用エタノールを使って徹底的に除去しましょう。次に、ホコリの除去です。ホコリの中には、カビの胞子や人間のフケ、食べ物のカスなどが含まれており、湿気虫にとっては栄養豊富な餌場です。家具の裏やベッドの下、部屋の隅、巾木の上など、ホコリが溜まりやすい場所を意識して、掃除機をかけ、その後水拭きで仕上げると完璧です。本棚も要注意スポットで、長期間動かしていない本にはチャタテムシが発生しやすいため、時々本を取り出してホコリを払うなどの手入れが必要です。キッチンでは、食品の管理が鍵となります。小麦粉や乾麺、お菓子などは、購入した時の袋のまま保管せず、必ずパッキンの付いた密閉容器に移し替えましょう。これにより、外部からの侵入を防ぎ、万が一内部で発生しても被害の拡大を食い止めることができます。日々の掃除に、ほんの少しだけ「湿気虫の餌を断つ」という視点を加えること。その小さな意識改革が、不快な同居人との決別を早めることになるのです。