ふと気づくと浴室の壁にとまっている、小さなハート型の虫、チョウバエ。窓を閉め切っているはずなのに、一体彼らはどこから侵入してくるのでしょうか。その答えは、多くの場合「家の外から侵入してくる」のではなく、「家の中で発生している」のです。チョウバエの発生源を特定することは、効果的な駆除を行うための第一歩となります。彼らの幼虫が育つために必要な条件は、水と、栄養源となる有機的な汚れ、つまりヘドロやヌメリです。この条件が揃う場所が、家の中にいくつか存在します。最も代表的な発生源は、浴室の排水口です。髪の毛、皮脂、石鹸カスなどが混ざり合ってできたヘドロは、チョウバエの幼虫にとって最高のレストラン兼住処となります。特にバスタブの下や、洗い場の排水口の奥など、普段掃除の手が届きにくい場所に汚れが溜まっていると、そこが繁殖の温床となります。次に疑うべきは、キッチンや洗面所の排水口です。キッチンでは食べ物のカスや油汚れが、洗面所では石鹸カスや髪の毛がヘドロを形成し、チョウバエの発生源となり得ます。排水管の構造がS字トラップになっている場合、常に水が溜まっている部分の壁面に汚れが付着しやすく、注意が必要です。意外な発生場所として、トイレのタンクの中や、長期間使われていない排水溝、観葉植物の受け皿なども挙げられます。また、あまり知られていませんが、浄化槽が設置されている家では、浄化槽そのものが巨大な発生源となっていることもあります。この場合、浄化槽から伸びる配管を伝って、家の中のあらゆる水回りにチョウバエが出現する可能性があります。もし家の複数の場所で同時にチョウバエを見かけるようなら、浄化槽の点検を専門業者に依頼することも検討すべきです。このように、チョウバエの発生源は一箇所とは限りません。家の中の「水」と「汚れ」が溜まる場所をリストアップし、一つひとつ丁寧にチェックしていくことが、厄介な彼らの発生源を突き止め、根絶するための鍵となるのです。
チョウバエは一体どこからやって来るのか