それは、梅雨時の蒸し暑い日のことでした。仕事から帰宅し、一日の汗を流そうと浴室のドアを開けた瞬間、私は壁にびっしりと張り付いた黒い小さな虫の群れを見て、思わず息をのみました。最初はただの黒い汚れかと思ったのですが、よく見るとそれは全てが動いており、紛れもなく虫の大群でした。その正体は、チョウバエ。それまで我が家ではほとんど見かけたことのなかった不快な害虫が、一夜にして浴室を占拠していたのです。パニックになりながらも、私はすぐにシャワーで壁の成虫を洗い流しました。しかし、それは一時しのぎに過ぎませんでした。翌朝、浴室を覗くと、またしても同じくらいの数のチョウバエが壁にとまっているのです。まるで無限に湧いてくるかのような光景に、私は軽い絶望感を覚えました。このままでは風呂に入ることすらままならない。私は意を決して、徹底的な駆除作戦を開始することにしました。インターネットで調べると、原因は排水口の汚れにあるとのこと。恐る恐るバスタブの排水口カバーを外してみると、そこには目を覆いたくなるようなヘドロが溜まっており、チョウバエの発生源がここであることを確信しました。私はゴム手袋をはめ、古い歯ブラシを片手に、排水口の内部や手の届く範囲の配管を徹底的にこすり洗いしました。その後、市販の強力なパイプクリーナーを一本丸ごと流し込み、数時間放置。仕上げに、給湯器で設定できる最高温度のお湯を、これでもかというほど排水口に流し続けました。翌日、緊張しながら浴室のドアを開けると、壁にいたチョウバエの数は明らかに減っていました。完全にはいなくならなかったものの、光は見えました。私はそれから三日間、毎日寝る前に熱いお湯を排水口に流し続けるという作業を繰り返しました。そして四日目の朝、ついに壁からチョウバエの姿が完全に消えたのです。この一件以来、私は週に一度の排水口掃除を欠かさず行っています。あの悪夢のような光景は、日々のこまめな清掃の重要性を私に教えてくれた、忘れられない教訓となりました。
我が家の浴室チョウバエ駆除奮闘記